『神山に1ヶ月居候して』
【 石 】
石はいい いつまでも
黙っていられるから
花が散り 蝶が立ち去っても
石は黙って 天を見る
桑原文次郎
3年前100歳で逝去した祖父が残した『石』という四行詩
歩けない、飛べない、泳げない、
食べれない、喋られない
そんな石の
「ない」
を
「ある」
に変える視点の豊かさ。
天を見上げる
ではなく
天を見る
とする視座の高さ。
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小さくなった背中を
椅子に預けることなく、
足が弱くなった古い机に
しゃんと向かう祖父の姿を思い出す。
祖母が亡くなる前から続けていた読経
感謝を忘れず、草木に思いを寄せる祖父は祈りの人だった、と
この年になって気づく
おじいちゃん子だった自分。
◯◯◯
祖父の紡ぐ言葉が、
とてもキレイで、美しいのは
40年以上国語の教師をしてきた祖父の研鑽の賜物だろう。
この詩が載っている詩集『出会い』は祖父が98歳の時に出版された。
当時の自分はクソガキ、18歳。笑
少しは成長したつもりでも
今の自分はまだ23歳。
つい、つぶやいてしまった
「98歳って何歳だよ 笑 」
祖父はその智慧と感性を残したんだと思う。
還暦を超えた4人の子どもたちに、
生活を創り始める孫たちに、
そして、
そのまた子どもたちに。
◯◯◯
家の中で杖を2本つきながら歩く祖父は
老いと共に、「できなくなること」が増えていた。
でも、もっと大きい
「できるようになる何か」
があったのだと思う。
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居候先の神山の家で
水道の蛇口をひねっても水が流れて来なくなり、
水源の工事のために山に入ったことがあった。
採水地まで行く車の道が、四駆の軽トラが上がらないくらいボコボコで
道路の舗装のための、石を集めながら
ふと、思った。
石は祈ってるんじゃないか。
石が、黙って、じっとしているのは
喋ることよりも、動くことよりも、
もっとやりたい
大きな祈りがあるんじゃないか。
石は黙って、天を見ながら、
ぼくの祖父が
子や、孫や、これから生まれてくる子どもたちの幸せを祈ったように
石も地球の未来を思い祈っているんじゃないか。
そう思ったら、
石や岩でできてる大地
みんなが僕たちを
祝福してくれてる気がする。
11月15日、神山に来てはや1ヶ月
そろそろ動き出します!