暗闇の余白。

広島の山間部に位置する 世羅の夜を歩く。

30分もすると、

リュックに接する背中が汗ばんでくる。

      

主要道路でも、

街灯の間隔は数100m。

      

暗闇に目が慣れると、

凄まじいスピードの鉄の箱に目が眩む。

      

通り過ぎた瞬間、

また、暗闇にカエル。

         

点滅信号が辺りを照らす。

モノトーンの世界。

黄色い光に楽しみを覚える。

       

急に数m先を黒い何かが通った、らしい。

大きさも形も分からなかった。

アスファルトの上を走る音と、

道路脇の茂みに入ったガサガサという音が、

その存在を教えてくれる。

       

クルマが通らないときは、

カエルの声がよく聞こえる。

       

ケロケロケロ と鳴くカエル

グワッグワッ と鳴くカエル

       

彼らには一体、

どんな名前があるんだろう。

       

声をかけてくれる友達の

名前を知らないのは

なんか、申し訳ない。

       

アマガエルか

トノサマガエルか

ウシガエルか。

       

いや、でも、ちょっと待てよ。

その違いって、人間だったら、

日本人か、タイ人か、イギリス人か、

みたいな。

そんな、大事な違いじゃないぞ。

        

よりも、

一人一人の違いの方が大事。

         

だから、名前をつけよう。

あっちから聞こえる声の主は、一郎。

こっちから聞こえる声の主は、次郎。

そんなことをしてると、

三郎(さぶろう)

史郎(しろう)

吾郎(ごろう)

六郎(ろくろう)

七郎(ななろう)

      

ん???

ろくろう?笑

ななろう???

       

六郎くらいから、

馴染みがなくなるのは、新発見!笑

       

ちょーどーでもいい話だけど、

暗闇の世界では、そんなことが面白い。

        

暗いからこそできる余白がある。

       

陽が落ちても、まばゆい光を浴びて、

イヤホンで大きい音を聞いて、

       

強すぎる刺激に、五感を塞ぐ。

       

暗闇だから、色の違いに心が踊る。

自然の音の中に微妙な差異を見る。

       

余白の中に、遊びがある。